◆脱北幇助のブローカーに10年の刑

――裁判にかけられた他の12人はどんな罪状でしたか?

殺人未遂、強盗、麻薬密輸、脱北幇助などの罪だった。判決は、麻薬密輸は教化(懲役)8年で、あとは10年だった。専門ブローカーとして脱北を手伝い、 密輸もしていた女性が10年の刑になった。

――恵山の住民は大動員されたわけですね。

体の具合が悪いなどの理由をつけて行かなかった人もたくさんいました。それで、参加しなかった人員を調査し、全ての人が報告するように言われた。病気を理由に欠席した知り合いは、診断書を出し、人民班長にお金を渡してもみ消しました。企業では、青年同盟員を対象に遵法精神を高める緊急学習会が、翌20日に開かれました。

――恵山で今年3回目の公開処刑です。あなたはどう思いますか?

皆、生活が苦しい上、強盗や殺人、死亡事故がたくさん起こるので、社会はすさんだ雰囲気です。それに銃殺まで頻繁にやるから、心配だし怖くなります。 家の中では、「法を破ると殺されるから注意しよう」と言い合っています。

◆4カ月で3度、男女11名の処刑執行の異様

恵山市で公開処刑が執行されたのは今年に入って3度目だ。8月30日に役牛を屠畜し密売した罪で男性7名、女性2名の計9名が、9月25日には医薬品の横流しの罪で男性1名が銃殺された。19日の銃殺に関しては、米国のRFA(アジア自由放送)が20日に報じていた。アジアプレスが調べたものと多くの共通点があった。

それにしても1都市で短期間に3度も公開処刑を執行するのは異常である。秘密警察に当たる保衛局で仕事をしていた脱北者は次のようにコメントした。

「同じ都市でわずか4カ月の間に3度も公開銃殺するなど、私が北朝鮮に住んでいた頃にも聞いたことがない。住民に恐怖を与える見せしめが目的だが、社会秩序の乱れが深刻なため、公開銃殺をしないと治安悪化を食い止められないと金正恩政権は判断しているのではないか」

※アジアプレスでは中国の携帯電話を北朝鮮に搬入して連絡を取り合っている。

 

 

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