◆石綿含有率低めの日本

まず独自調査で明らかになった、定性分析結果について見ていこう。

今回の“震源”の1つ、NZで実際に分析にたずさわるエアラム社のディレクター/プリンシパル・コンサルタント、ベンジャミン・アルフォード氏は、「これまで分析したクラフトサンド(カラーサンドのこと)はすべてトレモライトを検出した」「キネティックサンド(マジックサンドのこと)の約20%もトレモライトを検出しています」と2025年11月21日、石綿調査・分析の専門家が集まるSNSのグループに投稿している。

2月中旬に同氏にSNSで連絡して、その後の石綿含有の状況に変化があったか尋ねたが、とくに変わらないと話していた。

これと独自調査による日本の状況を比較すると、カラーサンドはすべてではないものの7割検出で、マジックサンドはちょうど2割とまったく同じ状況のため、それほど大きな違いはなさそうだ。

ただし同氏がSNSに投稿した動画をみると、若干違いもある。

日本での販売品では、粒子サイズが明らかに小さいのである。また、石綿の含有率も日本のほうが少なかった。

すでに述べたように石綿検出のあった8製品のうち、もっとも含有率の高いものでもXuYuQianQiShangMaoのマジックサンドで0.55%。カラーサンドではNiurewanブランドの38色セットで0.128%である。もっとも低濃度のサンワの製品では、じつに0.031%に過ぎない。

一方、アルフォード氏から提供してもらったNZのカラーサンドを透過電子顕微鏡(TEM)で定量分析した報告書では、3試料のいずれもトレモライト石綿を検出。含有率は「微量に検出」と2.6%、3.3%だった。

微量の事例を除けば、まさしく桁違いである。

なぜこのような違いがあるのかはっきりしたことはわからないが、1つ考えられるのは、直接子どもたちが手で触る砂遊び用が中心の豪やNZに比べ、砂絵やサンドアート用などが中心の日本では粒子サイズが小さい可能性がある。

オランダ食品・消費者製品安全庁(NVWA)は計99製品を調査し、基準(重量の0.1%)超だったのは5製品で、石綿含有率0.15~0.42%だったと発表。そのほか29種類の製品からも石綿を検出したが、基準を下回る0.000005~0.01%だったという。基準超だったのは、砂絵用や装飾用(デコレーションサンド)などだ(用途の説明のないものもあった)。3月13日の追加発表で、これまで計106製品を調べ、34製品からごく微量に検出。基準(重量の0.1%)超は計6製品と更新している。この際には含有率が示されなかった。

基準超の石綿含有率だけみると、オランダの状況が日本にかなり近いのかもしれない。

一方、オランダではTEMを使って定量しているらしく、もっとも含有率の低い製品は0.000005%とこれまた桁違いに微量の含有である。

なぜ砂絵用などの含有率が低いのかについても確たる情報はない。筆者が協力を得た分析技術者は、「日本向けの製品は、おそらく製造時の粒度調整でふるいを通しているはず。その際にふるい上に大きい石綿繊維が残り、結果として含有率が低くなっているということがあるかもしれない」との見解を示す。

ありそうなことだが、砂の採取地や製造工場で工程ごとに調べることができない限り、はっきりとはわからないだろう。

★新着記事