◆輸入禁止でも「分析なし」の実態

今回カラーサンドなど「遊び砂」の石綿混入で明らかになった1つは、この間何度も繰り返されてきた同様の問題がまったく教訓化されていない事業者の製造管理のずさんさである。

比較的最近でも2020年にけい藻土バスマットの石綿含有が大きな問題になったし、2024年には実験用の石綿「不使用」を謳うセラミック金網から数十%の含有が相次いだ。いずれも輸入する事業者の製造管理ができていなかったことが原因だ。

けい藻土バスマットの件では、中国の製造工場と定められた材料以外使わないとの契約を結んでいた家具大手・ニトリホールディングスでも、石綿分析をしていなかった結果、知らない間に材料が変わっている「サイレント・シフト」により計350万個超の自主回収を発表するはめになった。

今回の事例では、問題発覚までに製造ロットごとの石綿分析をしていたと事業者はおそらくない。筆者の取材に対してほとんど回答がなかった(1社はしていなかったことを認めた)ことがその答えであろう。本当に厳格な製造管理をしていたのであれば、説明するはずだ。また、複数の大手分析機関に聞いたが、今回の問題が起きるまで「分析した経験がない」と話していたことからも裏付けられる。

中国の製造工場と直接やり取りして輸入していた1社は、「食品衛生法で(分析が)義務づけられているものなどは調べるのですが、カラーサンドは単価も安いし、(分析まで)やってたところはないと思います」と明かす。

労働安全衛生法(安衛法)では2006年から基準(0.1%)超の石綿を含む製品などの製造・輸入・譲渡・提供・使用を原則禁止。2012年から全面禁止している。違反し有罪になれば、同法でもっとも重い「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」である。

違反事例は2006年から繰り返し起きており、複数の事業者が書類送検されている。

法令上、製造や輸入などが禁止でも、分析することが義務づけられていなければ調べない。そんな風潮がまん延している。どの原材料に石綿を含む可能性があるのか知りもせず、調べもしないまま、輸入している実態がある。

けい藻土製品の問題をめぐっては、2021年12月から板状のけい藻土製品だけは分析結果を確認・保管する義務が設けられたが、石綿混入のあり得るほかの原材料については放置された。規制前から同省には指摘しており、知らなかったわけではない。

同省はけい藻土製品の規制による波及効果をねらったのかもしれないが、今回改めて期待できないことがわかったはずだ。混入の可能性のある製品すべての分析を義務づけ、違反事例はすべて送検するような規制・対策が必要ではないか。

さらに今回は基準内の石綿含有事例も相次いだ。そのため現状の0.1%規制では、石綿含有にもかかわらず子どもらがばく露しかねない状況が止められない。イギリスやオーストラリア、ニュージーランドでは少しでも石綿が含まれていた場合は違法とされ、だからこそ今回も自主回収させることができている。日本でも同様に微量の含有であっても違反とする規制強化が求められる。0.1%以下の石綿を流通させる意図がなければ、容易に可能のはずだ。

所管する厚生労働省に改めて一連の規制強化などの必要性を聞くと、「ご意見として承る」(化学物質対策課)と繰り返すのみ。含有基準の見直しどころか、後追いの分析義務化すらせず、放置する可能性がある。

かくて発がん性の高い石綿が混入した製品の流通は続くということか。

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