国会図書館宛の「非公開要請文書」(後半)国会図書館宛の「非公開要請文書」(後半)
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いかにも秘密扱いの重要文書であることを強調し、その内容が知られると、「公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」、アメリカとの「信頼関係が損なわれるおそれがある」と主張している。
しかし、長年にわたって繰り返され、多発する米兵犯罪の被害者にとっては、本来裁かれるべき加害者の米兵が、日米当局間の密約によって見逃される場合があるのは、到底納得できるものではない。
事は米兵犯罪の被害者の命と人権、さらに刑事裁判権の行使という主権の根幹にも関わる重大な問題である。
被害者ではなくても、誰でも被害者になる可能性があることを考えれば、決して一部の人だけの問題ではすまされない。
米兵犯罪の捜査・逮捕・起訴・裁判などに関する日米間の合意がどうなっているのか、警察や検察はどう運用しているのか、むしろ包み隠さず明らかにすることこそが、公共の安全と秩序の維持に役立つはずである。

主権在民の憲法のもと、「知る権利」の観点からしても公開されてしかるべき事柄だ。行政当局の手で秘密にされていること自体がおかしい。
また、アメリカ政府は米国立公文書館に保存されていた関連の秘密文書を解禁して、公開している。一方がすでに公開したものを公にしたところで、信頼関係が損なわれるとは思えない。

法務省刑事局による非公開要請文書は、次の文章で結ばれている。
「なお、本件資料が作成されたのは昭和47年3月であり、作成から相当年月が経過しているが、現在の実務においてもおおむね本件資料の内容に従って運用がなされており、現在においても秘密の取扱いがなされるべきものである」
日米間の密約はいまもそのまま活きており、それに沿った事件・事故の処理がおこなわれていると見ていい。  つづく(文中敬称略)
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