しかもウエストは、2010年度の環境省の検討分科会において、他の製造・販売業者に交じって技術資料を提出したり、現地での測定に参加したりしていた。

あらためて小西氏に連絡したところ、「積極的に販売したり、営業したりというわけじゃない。1台も販売した記録はありません」と反論する。検討分科会への出席は新たに総販売元となっている会社から「要請があったから」という。

だが、家族会社で測定機を取り扱っていたのは事実で、総販売元の会社とも便宜を図るような関係だった。"利害関係者"の立場を明かさず委員をしていた以上、第三者性に問題がある。

小西氏は「大変心外。利益誘導など一切ない」と強く否定し、「書いたらこっちも知っている事実を暴露する」と恫喝めいた捨てぜりふを残した。

「アスベスト飛散の防止に使えるものは全部使えばいいというのが私の考え。漏洩の確認ができるものを除外するべきではない」という小西氏の持論は、 厚労・環境両省の説明そのものだ。疑惑の真偽はどうあれ、両省が小西氏の考えを理論的なよりどころに測定機の法的位置付けへと動いているとの見方はあなが ち間違いではあるまい。

測定機に関する問題を指摘する声は、アスベストの分析会社や除去業者からも上がっている。

外資系企業などの依頼を受け、米国式の調査・分析から施工時の監視業務まで請け負うEFAラボラトリーズ取締役の亀元宏宣氏は、「日本の解体現場で は、(労働安全衛生法石綿障害予防規則の)レベル1の吹き付け石綿の除去工事の隣でレベル3の建材を壊していたりする。そんな場所でリアルタイムモニター で測定しても何を測っているかわからない」と指摘、「小型で持ち歩くのが容易で、漏洩場所に近づけたりして調べることができるデジタル粉じん計のほうが使 い勝手がいい」と語る。

デジタル粉じん計は、繊維状粉じんも含め、粉じん濃度を常時計測・表示できる測定機で、価格が安く、小型で携帯性に優れている。

繊維状粉じんだけを測ることはできないが、繊維状粉じんの濃度が上下すれば、それも含めて計測されるため、漏洩の監視によく使われる。亀元氏はこう断言する。
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