【イラク・クルディスタン地域】 ヤズディ住民は地域ごとに部族でまとまっている。部族長のひとり、ムラット・シェイク・カロさん(54)は、「ヤズディ教徒に安住の地はない。私たちは繰り返し虐殺と迫害にさらされる歴史だった。過去の虐殺事件とあわせると、今回が74回目の虐殺だ」と話す。一族はもともとトルコ南東部に暮らすヤズディ教徒だったが、オスマン帝国時代の迫害でイラク北部へ逃れた。その後、モスルに暮らしたが、2007年アルカイダ系イスラム武装組織に脅迫され、モスルの家、財産、すべてを奪われたという。その年の夏には、シンジャル郊外で武装組織による大規模な爆弾攻撃があり、ヤズディ住民375人が殺害される事件がおきている。(イラク北部シャリヤで 9月・玉本英子撮影)

【イラク・クルディスタン地域】 ヤズディ住民は地域ごとに部族でまとまっている。部族長のひとり、ムラット・シェイク・カロさん(54)は、「ヤズディ教徒に安住の地はない。私たちは繰り返し虐殺と迫害にさらされる歴史だった。過去の虐殺事件とあわせると、今回が74回目の虐殺だ」と話す。一族はもともとトルコ南東部に暮らすヤズディ教徒だったが、オスマン帝国時代の迫害でイラク北部へ逃れた。その後、モスルに暮らしたが、2007年アルカイダ系イスラム武装組織に脅迫され、モスルの家、財産、すべてを奪われたという。その年の夏には、シンジャル郊外で武装組織による大規模な爆弾攻撃があり、ヤズディ住民375人が殺害される事件がおきている。(イラク北部シャリヤで 2014年9月・玉本英子撮影)

これまでイラクとシリアでは、一般にアルコール類については比較的寛容であった。イスラム法を独自に解釈し、社会に厳格に適用させようとするイスラム国は、「アルコールや煙草はイスラム教に背く」と布告し、支配地域で商店襲撃や摘発、廃棄をおこなっている。写真は、イスラム国の部隊が制圧直後のシンジャルで、アルコール類を置いていた飲料店に火をつけ店ごと焼き払っているもの。(イスラム国が公開した写真より)

これまでイラクとシリアでは、一般にアルコール類については比較的寛容であった。イスラム法を独自に解釈し、社会に厳格に適用させようとするイスラム国は、「アルコールや煙草はイスラム教に背く」と布告し、支配地域で商店襲撃や摘発、廃棄をおこなっている。写真は、イスラム国の部隊が制圧直後のシンジャルで、アルコール類を置いていた飲料店に火をつけ店ごと焼き払っているもの。(イスラム国が公開した写真より)

イスラム国は、キリスト教の教会、ヤズディ教施設、シーア派モスクなどを次々と破壊している。とくにヤズディ教は「悪魔崇拝の邪教」とされ、ヤズディ教の町や村にあった聖塔はイスラム国によって徹底的に壊されている。写真はニナワ県内のヤズディ教の聖塔コッブが爆破される様子。イラク北部は、楔形文字の粘土板が出土したり、メソポタミア文明やアッシリア帝国時代の遺跡も多数ある地域だ。こうした数千年におよぶ歴史的遺産が破壊や略奪にさらされ、被害は深刻である。(イスラム国が公開した写真より)

イスラム国は、キリスト教の教会、ヤズディ教施設、シーア派モスクなどを次々と破壊している。とくにヤズディ教は「悪魔崇拝の邪教」とされ、ヤズディ教の町や村にあった聖塔はイスラム国によって徹底的に壊されている。写真はニナワ県内のヤズディ教の聖塔コッブが爆破される様子。イラク北部は、楔形文字の粘土板が出土したり、メソポタミア文明やアッシリア帝国時代の遺跡も多数ある地域だ。こうした数千年におよぶ歴史的遺産が破壊や略奪にさらされ、被害は深刻である。(イスラム国が公開した写真より)

 

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◆第1部「ヤズディ(ヤジディ)の習俗、文化、迫害の歴史」(1~7)一覧
◆第2部「イスラム国侵攻後のヤズディ居住地現地取材と女性拉致被害」(1~7) 一覧

 

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