珪藻土バスマットから検出したアスベストの1つ、クリソタイル(白石綿)繊維束(矢印で示したもの)

◆懸念されるごみ収集職員のアスベスト曝露

ニトリ広報部は「お客様のみならず回収対象商品の廃棄処理等に携わる関係各当事者の皆様にご指摘のようなリスクが生じた可能性があることについては、申し訳なく、遺憾に堪えません」と書面で回答した。

カインズ広報部は「可能性はご指摘のとおりと思っておりまして、こういう状況を招いていることは申し訳ないの一点に尽きる」と答えた。

兵庫県明石市の職員が阪神・淡路大震災後にがれきの片付けや収集運搬に1年以上たずさわり、中皮腫を発症したが公務災害として認定されず、現在認定を求めて職員の妻が係争中だ。元同僚の1人は「可燃ごみで入ったらパッカー車で粉々にしているはず。作業員は(アスベストを)吸ってますよね」と懸念する。

少なくとも国や事業者は家庭ごみとして廃棄され、作業員らがアスベストを吸わされた可能性があることを調べて通知すべきではないか。

廃棄数の把握ができているニトリに対しては都道府県ごとの廃棄数だけでも公表できないか尋ねたが、同社広報部は実際の廃棄数を調査するのは「極めて困難」として、「ご回答については、差し控えさせていただきたく存じます」と応じなかった。カインズ広報部は「廃棄した方もご申告お願いしますとまで対応できてない」などと答えた。

環境省廃棄物規制課に実態調査や通知を求めたが、明確な回答はない。

きちんと記録を残して伝えなければ、将来珪藻土製品のアスベストに曝露して被害を受けた人びとが労災・公務災害認定されない事例も起こりかねない。

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