◆混和材「パネック」も使用停止

その結果がどうだったのか気になるところだが、同社は「(分析は)行政の指導のなかで進めている。最終的な結果が出ていない」(同)と歯切れが悪い。厚生労働省化学物質対策課と旭川労働基準監督署は「個別の対応状況はお答えできかねます」と相変わらずの対応である。

憶測でしかないが、以前から依頼している社外の分析機関に委託して石綿含有が確認されず、国などに説明・相談した結果、信頼性の高い分析機関でやり直すよう指導されて時間が掛かっているといったところだろうか。

また発表していないが、同社の建材などに使う混和材「パネック」についても主原料はマインマグと同じで、やはり石綿含有の可能性がある。同社は「同じ原料」と認め、「出荷や販売を一時停止している」(同)と明かした。同社ウェブサイトによれば、4製品(パネック1、パネック2、パネック3、パネック12)あるという。

発表しないのは、「製造メーカーに原料として卸しているもので、直接現場で一般ユーザーが触る商品ではない」(同)との理由だ。

しかし、今回の石綿検出のように万が一ということもあり、やはり発表すべきだ。同社は「ご意見として承る」(同)と回答した。

さらにいえば、2006年9月~2011年3月に販売されていたモルタル混和材「ニューテーリング」、「道産粉」、「美らこて」などのほか、2006年9月~2011年3月販売の「調湿漆喰(吸放湿性内装仕上材)」も主原料が同じであり、やはり石綿含有の可能性があるが、同社は対応を公表していない。対象製品はほかにも存在する可能性がある。

ちなみに2022年12月にニューテーリングについても石綿含有の可能性を指摘したが、同社は否定していた。

同社は自主回収の判断について「行政機関の指導のなかで進める」(同)としている。筆者が依頼した3社による石綿検出の分析結果から一定量は間違いなく回収との判断になると予想されるが、問題は対象製品の範囲と回収期間である。残存している過去の製造ロットの分析から考えるしかないだろうが、信頼性の高い分析機関が徹底的に調べたうえで安全側に立って判断することが求められる。安易な“安全宣言”でごまかすことは決して許されない。

【関連写真】ノザワの肥料「マインマグ」のアスベスト含有を示す顕微鏡写真など

 

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