アマゾンなどで販売されている子ども向けのカラーサンド(色砂)など「遊び砂」から危険なアスベスト(石綿)の検出が相次ぐ。基準(重量の0.1%)超の製品も複数見つかるが、なぜ歯止めが掛からないのか。(井部正之)

【関連資料】独自調査で明らかになった遊び砂のアスベスト検出状況や含有率など
◆3製品から基準超の石綿検出
カラーサンドは砂を着色するなどしたもので、砂遊びやサンドアート(砂絵)などの用途で広く出回っている(カラー砂、アートサンド、デコレーションサンドなどの名称がある)。マジックサンドは砂を着色しシリコン油などを加えたもの(キネティックサンド、シルキーサンド、のびーるサンドなどの名称がある)。ふわふわな手触りで成形しやすく、散らばりにくいため、屋内の砂遊びに適していると人気になった。いずれも知育玩具として広く販売されている。数十年前から学校教材にも採用されているという。
子どもが日常的に触るこうした遊び砂から発がん性の高い石綿の検出が相次いでいることは意外に知られていない。
石綿は吸うと数十年後に肺がんや中皮腫(肺や心臓などの膜にできるがん)などを発症させるおそれがある。とくに中皮腫は少量のばく露でも発症リスクがあるとされ、特効薬もなく、非常に予後が悪い。しかも石綿ばく露の始まる年齢が低いほど、将来的な発症リスクが大幅に増加するという。砂あそびをする低年齢時の石綿ばく露は将来的に深刻な事態を引き起こしかねない。
もともと2025年11月にオーストラリアとニュージーランド(NZ)で石綿検出が発覚したのがきっかけ。豪の公共放送ABCニュースの報道によれば、豪の分析機関が機材の試験と社内講習のためにカラーサンドを購入して分析したところ、石綿を検出。念のため、別の分析機関で調べてもらったが同じ結果だった。これが政府機関に伝えられ、豪とNZでリコールが相次ぐことになった。とくに豪では清掃のため学校の閉鎖が相次いだ。
両国の状況から同様の事態が日本でも進行しているのではないかと考え、筆者は12月以降、アマゾンや実店舗などで計19製品を購入し、協力を得た分析機関で石綿の有無を調べる国際標準の「JIS A 1481-1」で「定性分析」してもらった。
分析したのは日本環境測定分析協会(日環協)における石綿分析講習のインストラクターが所属する会社で、社内精度管理だけでなく第三者認証も実施するなど、建材などの石綿分析では日本でもトップクラスの分析機関である。鉱物学の知識も持つインストラクターの分析者が綿密に調べてくれた。
すると、7製品からトレモライト石綿を「微量に検出」。1月22日にアジアプレス・ネットワークなどで記事を配信した。その後1製品を追加調査し、計20製品を分析し、8製品から石綿検出した。40%の石綿検出率になる。その結果は(冒頭にリンクのある)関連資料にまとめたとおりだ。ただし独自調査で不検出だったとしても、製造ロットで原材料が異なるなどすれば分析結果に違いが生じる可能性もあり、注意が必要だ。
石綿を検出した製品は、いずれも中国からの輸入品だった。
もう少し詳しくみていくと、カラーサンドでは12製品中7製品から石綿を検出し、58.3%の検出率だ。マジックサンドは8製品中1製品から石綿検出で、12.5%の検出率。
ただし独自調査では国産品も調べており、中国からの輸入品に限定すると、カラーサンドは10製品中7製品で、検出率は70%に達した。同様にマジックサンドは5製品中1製品で、検出率20%だった。
その後、国際標準の定量分析法「JIS A 1481-4」で含有率の高そうな順に含有率も調べてもらった。その結果、中国からアマゾン経由で直接販売していたXuYuQianQiShangMaoの「マジックサンド FANTASTIC SAND」(含有率0.55%)、同様に中国からのFT-VS「Niurewan 38個 サンドアート」(同0.128%)、中国のアリババ経由で個人輸入して販売していたtonecraft(札幌市)「カラーサンド12色セット」(同0.107%)の3製品で基準(重量の0.1%)を超えた(詳細は関連資料参照)。
通常の上記・定量分析法では計数してしまう繊維状タルク(滑石)などについて、偏光顕微鏡で(石綿の判別法の1つ)分散色を確認して除外したうえで定量しており、保守的な分析結果である。























