あと、今行ってば、外国の人のお金は、ビルマの軍事政権のためになります。ビルマの国のお金は周りの国でも使うことができないで、ただの紙です。それをビルマの軍事政権はたくさん作って外国のお金と換えます。そのお金で武器とかを買います」
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【都会から田舎に移動するには、人と荷物を満載するピックアップが一般的である。右端の男性は政府関係者のようで、車の写真を撮ろうとカメラを向けると、写真に撮られたくないのか、クルッと後ろ姿を見せた】
私自身、ビルマに入って取材を続けているが、軍事政権にお金が入ると分かっていながら、特別な地域に入るために許可を取って観光客となったこともある。

そうするしか他に方法がなかったからである。
ということは、他の人も、どうしてもパガンが見たい、なんとかしてインレー湖を訪れてみたい、あるいはどうしても黄金に輝くシュエダゴン・パゴダが見たいという理由を持っている。

自分の場合は良くて、他の人の訪問理由を排除するのは勝手すぎるだろう。
2006年10月にツアーガイドとして働き始めたばかりのKさん(男性・32歳)はこう語る。
「観光客は我々に実際にお金を落とす。だから歓迎している。それが今、私の唯一の収入源なんだ。家族を養うためにはもっとお客さんに来て欲しい」
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【旧首都ラングーン(ヤンゴン)の長距離バスチケット売り場。2002~2003年当時は、ラングーン縲怎}ンダレー(ビルマ第2の都市)の料金は5000チャット(K)ほどであったが、2007年半ばには1万1000チャット(約1100円)にまで値上がりしていた。中国系の進出が激しいマンダレーの様子は、バス会社の漢字の看板にも見て取れる】
そんな彼に問うてみた。
「でも、そんな観光客は、君の大嫌いな軍事政権にビザを申請することによって、今の政権の正統性をを認めているんだが、そのことについてどう思う」
それを聞いて、彼の表情は固まった。
聞いてはならないことだったのかも知れない。

「行くべきか、行かざるべきか」。
そういう質問をすること自体、無理なのだな。
ビルマに住む人にとって、そんな選択肢などあり得ないからだ。

それなのに、簡単に答の出ない対応を迫ってしまった。
それこそが外国人があるゆえの無責任な態度だったのかもしれない。
そんなことを考えながら、今日もヤンゴンの雑踏を歩く。

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