ラングーン(ヤンゴン)市内を警備するミャンマー国軍兵士(ASIAPRESS/FILE)

◇カチン州で1万人が難民化 国軍兵士による集団強姦も伝えられる
ビルマ(ミャンマー)北部のカチン州モーマウ郡で先月9日、緊張関係にあったビルマ国軍とカチン独立軍(KIA=カチン独立機構の軍事部門。ビルマの少数民族武装勢力の一つ)との間で戦闘が始まったが、KIA筋によると周辺地域から住民約1万人が逃げ、一部は国境を超えて中国側に入った模様だ。
戦闘での死傷者数は不明だが、英国BBC放送は、戦闘や破壊行為の規模はこの十数年のビルマで最大で、民間人への人権侵害も行われていると報じている。
「在タイ・カチン女性協会(KWAT)」は、先月18日までに、ビルマ国軍兵士が少なくとも18人のカチン民族の女性や少女を集団強かんし、一部を殺害したとしている。
また先月24日には、米国務省も懸念を表明し、戦闘行為の停止を呼びかける声明を出している。
戦闘が起きたのは、中国国境に近いターペイン第一、第二ダムの周辺で、ビルマ国軍とKIAが互いにこの地域からの撤退を要求し、双方が譲らなかったため交戦に至った。
両ダムは、中国の大唐集団とビルマ政府との共同事業で、大唐集団のウェブサイトによれば電力の90%が中国に送られる。ターペイン第一ダムは今年初めに完成。第二ダムの建設も進んでいたが、戦闘勃発で約200人の中国人作業員らが帰国し、第一ダムの発電は停止、第二ダムの建設作業も止まっていると見られる。

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