◆命の駆け引き
遠隔操作のゴーグルをつけさせてもらった。機体前方のカメラがとらえた映像がそのまま映る。画面の周囲に高度やバッテリー残量を示す数字が表示されている。まるでテレビゲームだ。 「車両や兵士めがけて突っ込んでいく。最初はゲームの感覚がした。ゴーグル越しに彼らがパニックになり、隠れたり逃げ回ったりする姿を楽しむ自分がいた。でも、これは“命の駆け引き”だと認識した。任務中に位置が把握され、戦車の砲撃を食らったことがある。敵にとって、こちらは最優先の攻撃目標で、真っ先に狙われる」

◆「車内にとどまるな。茂みに逃げ込め」
ドローンでロシア兵を狙う映像には、必死に逃げ惑う姿が映る。映像が途切れた瞬間が、爆発したことを意味する。「最期の瞬間」の兵士たちの悲痛な顔。動画は毎日、SNSで流れ、ロシア軍もまた、ウクライナ兵を仕留める「戦果」を誇示する。いまでは、どの部隊もドローンを撃ち落とす散弾銃を携行している。




もしドローンに狙われたらどうすればいいのか。バンデラ操縦士に聞いてみた。 「車両と兵士だと、我々はまず車両を狙う。距離があるときは散弾銃で撃ち落とすか、車で高速で走り抜けたらなんとかなるかもしれない。それが間に合わないなら、車をあきらめて飛び降りろ。そして脇道の茂みに逃げ込め。プロペラが茂みの枝に引っかかるから、深追いは躊躇する。あとは神に祈れ」


「じゃあ、あなたを敵と思って狙ってみよう」と、彼は言って、ゴーグルを装着し、コントローラーを握った。 プロペラが高速で回転し始めると、ブィーンと甲高い音とともに周囲に土ぼこりが舞い上がった。すっと浮いた機体は一気に上昇し、大きな8の字を描くように飛び回る。私は逃げようとするが、機体は高度を変えながら、行ったり来たりを繰り返す。前後左右に動き回り、いきなり急降下してきて、地面すれすれに突っ込んできた。逃げ切れるものではない。 そうやって命を絶たれていった双方の兵士たちのことを思うと、やるせない気持ちになった。























