内戦の影響で、北東部のカミシュリ市では電力供給は1日1時間ほどに制限されている。そのわずかの間に市民は衛星テレビをつけて国内の情勢を知る。テレビの消費電力を少しでも減らそうと、多くの家庭が小型テレビを購入していた。(シリア北東部ハサカ県カミシュリ3月下旬撮影 玉本英子)

 

長引くシリアの内戦は市民生活にも深刻な影響を及ぼしている。
戦闘で送電線が破壊されるなどしたため、カミシュリ市内の電気供給は1日わずか1時間ほど。供給時間はだいたい夕刻で、日暮れになると人びとは急いで家路につく。

滞在した家では、電気がくるとまずパソコンと電池の充電をして、衛星テレビをつけていた。
隣の部屋では奥さんが掃除機と洗濯機をかけはじめた。ひっそりとしていた家が、すこしだけにぎやかになったように感じる。

家族と一緒に衛星テレビ、アルジャジーラのニュースを見た。市民の多くはシリアの国営放送ではなく、外国のアラビア語放送を見ながら国内の情勢を知る。
「ここも首都のように爆撃されるのだろうか」
ニュース映像を見ながら父親のムハメッドさん(55)はつぶやいた。
45分後、プチッという音とともに突然部屋が真っ暗になった。この日の電気供給が終わったようだ。
「シリアの未来は真っ暗だ」
懐中電灯を取り出しながら、ムハメッドさんは大きなため息をついた。
【ハサカ県カミシュリ 玉本英子】

 

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