市場には野菜や果物などが売られていたが、値段が2~6倍に高騰し、市民には簡単に手の出せない値段になった。(シリア北東部ハサカ県カミシュリ3月下旬撮影 玉本英子)

 

地元住民の案内で、カミシュリの中心地にある市場を歩いた。
「政府の秘密警察のスパイがいるから気をつけて」と言われ、身がすくむ。
屋台には野菜や果物が並べられていたが、活気がない。戦闘で道路が封鎖され、西部からの物資が届かず、物価が高騰しているからだ。肉の買えない市民の多くは、りんごを食べるようになったというが、値段が通常の3倍の1キロ100シリアポンド(約130円)に高騰した。月給が2、3万円の一般家庭では、毎日食べられる金額ではない。
買い物客たちに声をかけてみた。

最初はこわばった表情の人びとだったが、ひとりが「このままでは生きてきけない」と口にすると、近くにいた人たちも「高すぎて何も買えない」、「誰も国民のことを考えていない」と訴えはじめた。あまりの人だかりに危険を感じた私たちはその場を離れざるを得なかった。
いつまで続くか分からない内戦の恐怖と生活の困窮。人びとは限界をむかえている。
【シリア・ハサカ県カミシュリ 玉本英子】

 

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