シリア北東部のカミシュリ市は、政府軍と、クルド組織、人民防衛隊(YPG)が町を分ける形で統治をおこなっている。そこから30キロほど南下すると、自由シリア軍の支配地域が広がる。
政府軍は、自由シリア軍に奪われた地域を取り戻すため空爆などを続けている。このため北部地域に向かう避難民があとを絶たない。

ハサカ県南部は自由シリア軍が支配し、前線では政府軍との攻防が続く。カミシュリ市のカナッド・スイス地区の病院跡地には、避難民10家族が身を寄せていた。母親(36=写真)は「戦闘がいつまで続くか分からない。これからどう生きていけばいいのか」と話した。(シリアハサカ県カミシュリ 玉本英子撮影)

 

カミシュリ市内のカナッド・スイス地区の病院跡地には、避難民10家族が身を寄せていた。
隣接するデリゾール県から逃れてきたアフメットさん(38)の家族は、自宅周辺に自由シリア軍が進行したため、地区が政府軍の爆撃を受けたという。親戚3人が亡くなった。

「どの勢力も陣取り合戦に必死で、その狭間で市民は置き去りにされている」と訴える。
地元市民でさえも生活困窮に苦しむカミシュリでは、国内避難民への特別な対策はとられていない。地元のクルド人組織がイラクやトルコのクルド人からの支援金を元に、貧困家庭に配っている米や油、砂糖などが入った食料バスケットを避難民にも分けている状態だ。

地元のクルド人組織の職員のファリス・ジャミル(52)さんは「地元市民も今日を生きるのにせいいっぱい。急増する避難民すべてに食料を配給するのは厳しくなってきた」と語る。

 

クルド人組織マラゲル(人びとの家)の職員、ファリス・ジャミルさん(52)は「避難民の急増で、食料バスケットが必要な人すべてにまかなえなくなってきた。医薬品、乳幼児のミルクなどもまったく足りない」と話す。
「このままでは食料不足で人びとが命の危険にさらされるかもしれない。とにかく戦闘をやめてほしい」。
ファリスさんは訴えた。
【ハサカ県カミシュリ 玉本英子】

 

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